中国・四国9県の協力隊|1,555人と島根386人の偏り

瀬戸内の港町にするか、日本海側の山あいにするか。中国・四国で協力隊の募集を見始めると、九つの県の性格がばらばらで比べにくいことに気づく。令和7年度の公表値で鳥取から高知までを並べると、三百人を超える県と八十人台の県が同じ圏域に並んでいた。

九県あわせて1,555人、全国の19パーセント

令和8年4月24日に公表された総務省の集計で、鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知を足すと隊員は1,555人になる。全国8,196人の19.0パーセントで、人口比で見れば厚い部類に入る。

受け入れ自治体は185団体、全国1,187団体の15.6パーセント。隊員の割合が自治体の割合を上回るので、一か所あたりは8.4人と全国平均の6.9人を上回る。少人数を広く配るのではなく、特定の町に厚く置く形が九県の共通点になっている。

全国の規模は前年度から286名増えて8,196人になり、取組自治体も11団体増の1,187団体まで伸びた。受け入れが可能な1,461団体の約81パーセントがすでに動いているため、枠そのものが急に増える余地は小さい。圏域ごとの全体像は地域別の受け入れをまとめた記事で並べている。

入口の幅も広がっている。数日から数週間の「おためし」参加者は令和7年度に全国で1,450人、二週間から三か月程度のインターンは1,414人まで増えた。いきなり任期三年を決めずに、まず短期で現地を見る道筋が用意されている。

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島根386人に対して徳島は81人

県別に置き換えると、最多と最少で四倍以上の開きがある。隣の県だから似ているという前提は、この圏域では通用しない。

県 隊員数(人) 受入自治体数(団体) 1自治体あたり(人) 定住率
島根県 386 19 20.3 60.3%
高知県 304 35 8.7 73.8%
岡山県 224 23 9.7 67.8%
愛媛県 162 17 9.5 67.4%
鳥取県 108 19 5.7 69.4%
香川県 103 15 6.9 72.7%
広島県 94 18 5.2 79.6%
山口県 93 19 4.9 75.2%
徳島県 81 20 4.1 65.0%
中国・四国9県 1,555 185 8.4 68.7%
全国 8,196 1,187 6.9 70.3%

島根386人は全国でも三番目に多い。中国地方の五県だけで905人、四国四県で650人となり、島根と高知の二県だけで九県の四割強を占める。山陰と高知が数を押し上げ、瀬戸内側は控えめという構図になる。

一方で受入自治体数を見ると、高知35団体に対し香川15団体と、こちらは二倍強にとどまる。広く薄い県と狭く厚い県が混在しているため、県単位の総数だけで募集の多さを判断すると外す。

中国地方の内訳は島根386人、岡山224人、鳥取108人、広島94人、山口93人。四国は高知304人、愛媛162人、香川103人、徳島81人となる。中国地方は島根が突出し、四国は高知が引っ張るという、どちらも一県集中型の並びだ。

島根の四割が海士町一町に集まっている

市町村まで下ろすと、数の偏りはさらに極端になる。同じ資料の市町村別一覧では、隠岐諸島の海士町が163人を抱えており、島根386人の四割強が一つの町に集中していた。

海士町のほかにも、同じ隠岐の西ノ島町27人、知夫村25人、隠岐の島町12人が並ぶ。島前三町村だけで215人になる計算で、島根の受け入れは離島に重心がある。本土側では邑南町22人、川本町19人、美郷町17人、津和野町14人と続く。

他県にも同じ型の町がある。岡山では人口千数百人の西粟倉村が50人、愛媛では西予市が30人、高知では室戸市が22人と県の直轄枠22人が目立つ。香川は土庄町20人と小豆島町19人で小豆島に集まり、山口は美祢市と山口市の15人が最多だった。県名で探すより、こうした町の名前で探すほうが募集に当たりやすい。

高知も市町村の層が厚い。四万十町19人、須崎市19人、佐川町18人、中土佐町13人、黒潮町13人と二桁の自治体が続き、35団体に304人が分散している。島根型の一点集中とは対照的に、県全体へ満遍なく配置されているのが高知の特徴になる。

定住率68.7パーセント、広島と島根で19ポイント差

任期を終えたあとに同じ地域へ残るかどうかも、県でそろっていない。令和2年4月から令和7年3月までの五年間に任期を終えた九県の1,752人のうち、同じ地域に定住したのは1,204人で68.7パーセント。全国の70.3パーセントをわずかに下回る。

最も高いのは広島の79.6パーセントで、山口75.2パーセント、高知73.8パーセント、香川72.7パーセントが続く。最も低い島根は60.3パーセントで、広島との差は19.3ポイントある。

ここで注意したいのは、数が多い県ほど定住率が下がりやすいことだ。島根のように短期の受け入れを大量に回している県では、任期終了者の母数そのものが388人と大きくなり、通過していく人の割合が上がる。定住率の低さが地域の居心地の悪さを意味するとは限らない。

定住の中身も押さえておきたい。全国で任期を終えた8,762人のうち6,163人が同じ地域に残り、そのうち5,038人は活動した市町村そのものに住み続けている。県内の別の市町村へ移る人も一定数いるため、県単位の定住率と「その町に残った割合」は一致しない。

県ごとの任期終了者数を見ると、島根388人、高知362人、岡山289人と上位三県で1,039人を占める。逆に香川は66人、徳島は100人と母数が小さく、数ポイントの上下が出やすい。定住率を比べるときは、母数の大きさも合わせて見ておきたい。

九県から絞るときに見る三つの数字

募集ページを順に開く前に、県の総数、一自治体あたりの人数、定住率の三つを並べてみると選びやすくなる。総数が多くても一自治体あたりが少ない県は、配属先が散っていて同期がいない可能性が高い。

逆に海士町や西粟倉村のような集中型の町では、同時期の隊員が何十人もいる。相談相手には困らない反面、役割が細かく分かれていて、自分の裁量で動かせる範囲は狭くなりやすい。どちらが向くかは人によるので、数字は優劣ではなく性格の違いとして読む。

三つ目の定住率は、受け入れ側がどこまで出口の支援をしているかの目安になる。広島や山口のように七割を超える県では、任期中から起業や就業の相談に乗る体制が整っていることが多い。移住先の生活費や仕事の探し方を含めた検討は、FLASPOのような地域とつながるサービスも併せて見ておくと進めやすい。似た構造は関西2府5県をまとめた記事でも整理している。

よくある質問

中国・四国で一番募集が多い県はどこか。隊員数では島根の386人が最多だが、受入自治体の数では高知の35団体が九県で最も多い。幅広い市町村から選びたいなら高知、特定の島や町に腰を据えたいなら島根という分かれ方になる。

瀬戸内側と日本海側でどう違うか。隊員数は日本海側の島根と太平洋側の高知に厚く、瀬戸内に面した広島94人、山口93人、香川103人は控えめだ。ただし広島の定住率は79.6パーセントで九県の最高値なので、残る前提で選ぶなら瀬戸内側にも目を向ける価値がある。

離島の募集は本土より条件が厳しいか。隠岐の島前三町村や小豆島のように、離島で二桁を抱える自治体は珍しくない。住まいや移動費の扱いは自治体ごとに差があるため、募集要項の支給内容を一件ずつ確認したほうがよい。

数字の出どころはどこか。本文の隊員数と受入自治体数、市町村別の人数、定住率はいずれも総務省が令和8年4月24日に公表した令和7年度の調査結果に基づく。定住率は直近五年に任期を終えた隊員を母数とした数値で、単年度の実績ではない。


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