ライフプランの見直し|転職330万人と住宅44.5歳を起点にする

ライフプランの見直し|転職330万人と住宅44.5歳を起点にする

引き金になるのは年齢ではなく、起きた出来事である

4月に異動の内示が出た、来年から子が私立に通う、親が要支援の認定を受けた。こうした連絡が来た翌月に家計の数字を直した人は、そう多くない。計画を直す理由は手元に来ているのに、作業としては年末まで放置されることが多い。

出来事がどれくらいの頻度で起きているかは、統計で見える。総務省の労働力調査(詳細集計)2025年平均では、転職者は330万人で、前年に比べて1万人の減少となった。4年ぶりの減少だが水準は高いままで、2021年の290万人からは40万人多い。現在の仕事を辞めてほかの仕事に変わりたいという転職等希望者は1023万人で、前年から23万人増えている。

転職者の内訳は男性156万人、女性174万人で、男性は2万人の増加、女性は3万人の減少だった。長い目で見ると2015年の299万人から2019年の353万人まで増え、2021年に290万人まで落ちて、そこから330万人前後で動いている。年によって上下はあるが、1年のあいだに300万人以上が勤め先を変えているという水準は定着している。

就業者のうち1000万人を超える人が転職を考えている状態である。転職は収入の額だけでなく、賞与の回数、退職金の制度、厚生年金の加入期間まで同時に動かす。年に1回の点検を待つと、動いた数字のまま半年以上を過ごすことになる。

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住宅の取得は、完済年齢のほうを先に動かす

見直しの幅がいちばん大きいのは住まいである。住宅金融支援機構の2024年度フラット35利用者調査によれば、借換えを除く27,523件の平均年齢は44.5歳だった。2017年度以降は上昇が続き、前年度から0.2歳上がっている。融資区分別では注文住宅が48.9歳で最も高く、前年度から0.9歳上がった。平均世帯年収は669万円である。

44.5歳で35年の返済を組むと、完済はおおむね79歳から80歳になる。65歳で退職するなら、15年分の返済を年金と貯蓄で払う形になる。ここを計算しないまま進めると、老後の生活費の見積りに住宅費が入っていない計画ができあがる。

だから住宅の話が出た時点で直すのは、月々の返済額ではなく完済年齢のほうである。完済を70歳に置くと決めれば、借入額と頭金と返済期間のどれを動かすかが決まる。住宅とライフプランは返済負担率から逆算すると判断しやすい。

出来事ごとに、直す場所はあらかじめ決まっている

見直しが重く感じられるのは、毎回すべてを作り直そうとするからである。実際に動くのは数字のうち2つか3つで、それ以外は前のままでよい。どの出来事がどの数字を動かすかを先に表にしておくと、作業は30分で終わる。

起きたこと 置き直す数字 確かめる一次情報
転職・転勤 手取り月額、賞与、退職金の有無 給与明細、就業規則、厚生年金の加入記録
住宅の取得 返済額、返済期間、完済年齢 フラット35利用者調査、返済予定表
結婚・同居 世帯の生活費、保険の保障額 家計調査の世帯人員別支出
こどもの進学 学年ごとの学習費、入学年の一時金 子供の学習費調査
親の介護が始まる 働ける時間、自己負担の上限 介護保険の負担割合証、高額介護サービス費
50歳到達 年金見込額(実額が届く) ねんきん定期便、ねんきんネット
出来事ごとに直す場所を決めておくと、計画の作り直しを毎回やらずに済む

表の左の列は、自分の暮らしに合わせて入れ替えてよい。単身であれば結婚の行を外し、賃貸で住み続けるなら住宅の行を家賃改定に替える。行が10を超えると使われなくなるので、5つか6つに抑えるのがちょうどよい。

この表の右の列が大事である。置き直す数字を想像で埋めると、見直したこと自体が誤差の持ち込みになる。給与明細や返済予定表のように手元にある書類が最優先で、手元にないものは公的統計の実額を使う。どちらも無いときは、数字を入れずに空欄のまま期限だけ書いておく。

定期の点検と、出来事が起きたときの点検は役割が違う

年に1回の点検で足りるものと、足りないものがある。生活費の水準や貯蓄の残高は、1年分まとめて見れば傾向がつかめる。一方で制度の改定や収入の段差は、起きた月に反映しないと判断を誤る。

先の世論調査で、老後を心配している世帯が挙げた理由の第3位は「生活の見通しが立たないほど物価が上昇することがあり得ると考えられるから」で、2025年は33.5%だった。前年の40.6%からは下がったが、3世帯に1世帯が物価の動きを不安の理由に挙げている。物価のような外から来る変化は、定期の点検で拾うのが向いている。

逆に転職や進学は、起きた週に反映したほうがよい。両方を1つの仕組みにまとめようとすると、どちらも中途半端になる。年に1回は全体を、出来事があればその場所だけを、と分けて考える。貯金の習慣化のように自動で積む部分を作っておくと、点検の回数自体を減らせる。

直したら、金額の裏づけまで戻してから閉じる

金融経済教育推進機構の2025年の調査では、二人以上世帯で生活設計を立てているのは35.1%だった。そのうち資金計画まで立てているのは69.5%で、今後は立てるつもりが20.8%、つもりはないが9.6%となっている。計画を持つ世帯の3割は、やることの順番は決めたが金額を貼っていない。

見直しで起きやすいのが、まさにこの状態である。「来年から私立に通う」と年表だけ直して、年額の学習費を置かずに閉じてしまう。年表が更新されているので直した気分にはなるが、毎月いくら足りないかは前のままで、判断の材料としては使えない。

閉じる前に確認するのは2つだけでよい。直した出来事に金額が付いているか、そしてその金額の出どころを1行で書いたか。暮らしの形ごと変える選択を考えるなら、FLASPOのような住まいと働き方の情報も合わせて見ておくと、前提を取り違えずに済む。全体の組み立てはライフプランの作り方のほうで扱っている。

よくある質問

見直す頻度はどれくらいが適切でしょうか。定期の点検は年に1回で足りる。これに加えて、収入か支出が月1万円を超えて変わったときと、制度の改定が自分に当たったときを引き金として決めておく。回数より、引き金を文字で決めておくことのほうが効く。

過去の計画は残しておくべきですか。残したほうがよい。どの時点で何を前提にしたかがわかると、外れた原因が前提か実行かを切り分けられる。1年前のファイルを上書きせず、日付を付けて別に保存しておくだけで足りる。

収入が下がったときは、どこから直しますか。先に固定費の内訳を出して、次に貯蓄の積立額を決め、生活費はその残りとして扱う。順番を逆にすると、節約の努力で埋めようとして長く続かない。固定費のうち住居費と保険料は、金額が大きいぶん見直しの効果も大きい。

転職を考えている段階でも直す意味はありますか。ある。労働力調査で転職等希望者が1023万人いるのに対し、実際の転職者は330万人である。希望の段階で収入が下がる場合の数字を置いておくと、条件を比べるときの基準として使える。

見直しの記録はどこに残しますか。1枚の表に上書きしていき、変更した行だけ日付を書き添えるのが続けやすい。専用の道具は要らず、表計算でも紙でもよい。残す目的は、次に同じ出来事が起きたときに前回どう判断したかを思い出せるようにすることである。

出典は総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2025年平均結果の要約」、住宅金融支援機構「2024年度フラット35利用者調査」、金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査2025年(二人以上世帯調査)」。


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