自己分析のフレームワーク5つ|使う順番と向いている場面の違い | FLASPO MAGAZINE

自己分析のフレームワーク5つ|使う順番と向いている場面の違い

ノートの一行目に「強み」と書いて、その下が三十分空白のまま、という場面は珍しくない。枠を探す人が多いのは、枠が答えを出してくれそうに見えるからだ。ところが枠は答えではなく、手を動かす順番を決める道具である。材料がなければどの枠も空欄で止まるし、材料を集めるための枠と、集めた材料を並べ替えるための枠は役割が違う。先に押さえておくと得なのは、名前のよく知られた五つが、作業のどの段に置かれるものなのかという点だ。

五つの枠は「集める・取り出す・照らす・選ぶ」に割り振れる

よく挙がる枠を手順の順に並べ直すと、重なりが消えて役割が見えてくる。最初の段は材料を紙の上に出す作業で、次の段は出した材料から理由を取り出す作業になる。三番目は取り出した内容を他人の目や外の尺度に当てる段で、最後に進む先を絞る段が来る。同じ段の枠を二つ使っても進まないのは、作業が重なるだけで材料が増えないからだ。

枠 使う段 入口の問い 向いている状態
年表・自分史 集める いつ何をしていたか 材料がまだ紙に出ていない
モチベーショングラフ 取り出す どこで気持ちが上下したか 出来事はあるが理由が言葉にならない
ジョハリの窓 照らす 他人からどう見えているか 自己評価が高すぎる、または低すぎる
社会人基礎力の12要素 照らす どの能力に当たるか 選考で使う言葉が決まらない
Will・Can・Must 選ぶ 望む・できる・求められるの重なり 業界や職種を絞る段に入った

四つの段のうち、就活生がつまずきやすいのは二番目と三番目だ。材料は出せても理由が取り出せず、取り出せても評価の言葉に移せない。外部環境まで含めて整理したい場合は四象限の形も使えるので、SWOT分析のフレームワーク完全ガイド|4象限の使い方と図解で象限の分け方を見ておくと、照らす段の選択肢が増える。

最初の段で年表を書くとき、評価の言葉を混ぜない

年表は左に時期、右に出来事を置くだけの表だが、書き方の注意点が一つある。出来事と同じ行に「頑張った」「成長した」と書き込むと、そこで作業が止まる。評価を書こうとした瞬間に、評価に値しそうな出来事だけを選び始めるからだ。結果として行数が増えず、材料が足りないまま次の段へ進むことになる。

埋める順序は、記憶からではなく記録から入ると早い。履修の記録、写真の日付、交通系ICカードの履歴、アルバイトの給与明細。これらを横に置いて並べると、忘れていた期間が出てくる。高校入学あたりまで遡ると進路の選択が二回は入るので、判断の跡を拾いやすくなる。

行数が二十を超えたら、続いたもの、途中でやめたもの、形を変えたものの三種類に印を分ける。この区別が次の段の材料になる。続いたものだけを見ていると傾向はつかめず、やめたものを並べたときに初めて共通点が出てくることも多い。書く対象をどう選ぶかで迷う場合は、ガクチカの書き方完全版|6ステップで誰でも作れる構成テンプレの構成が、拾う単位の目安になる。

気持ちの上下を線にするとき、縦軸を満足度にしない

モチベーショングラフは、横軸に時間、縦軸に気持ちの高さを取って線を引く枠だ。使う目的は線の形を眺めることではなく、線が曲がった地点に何があったかを特定することにある。だから縦軸を「満足度」にしてしまうと役に立たない。満足していた理由はたいてい結果の良さであり、本人の判断とは別物だからだ。

縦軸に置くとよいのは「自分で決めた度合い」である。言われたからやったのか、自分で決めてやったのか。この軸にすると、結果が出なかった時期にも線が上がる場所が見つかる。そこが選考で問われる部分と重なる。

線を引いたら、曲がった点を三つから五つ選び、それぞれに四つの欄を作る。始めたきっかけ、迷った場面、そこで変えた判断、その後どうなったか。この四つが揃うと、面接で聞かれる形にほぼそのまま対応できる。先に「なぜ続けたか」を埋めるほうが筆が進む。始めた動機は後から作り直した記憶になりやすく、きれいな言葉が出て手が止まるためだ。

外の尺度に当てる段で、公的な12の言葉を借りる

自分で書いた内容を自分で評価すると、同じ語彙の中で回ってしまう。ここで外の尺度を入れる。一つは他人の目で、もう一つは公的に定義された能力の一覧だ。前者はジョハリの窓の形で、自分が挙げた項目と、友人やゼミの指導教員が挙げた項目を並べて差を見る。差が出た欄こそ書く価値がある。

後者として使いやすいのが、経済産業省が2006年に提唱した社会人基礎力である。「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」の三つの能力と、12の能力要素で構成されている。内訳は主体性、働きかけ力、実行力、課題発見力、計画力、創造力、発信力、傾聴力、柔軟性、情況把握力、規律性、ストレスコントロール力だ。経済産業省の社会人基礎力では、平成29年度の研究会を経て「人生100年時代の社会人基礎力」として再定義され、目的・学び・統合の三つの視点とリフレクションが加えられている。

この一覧の使い方は、12のうち当てはまるものを選ぶのではなく、年表とグラフから出た具体に対して「これは12のどれに近いか」と後ろから当てることだ。先に語を選ぶと、語に合う出来事を探しに行ってしまう。強みと弱みを同じ密度で扱いたい場合は、SWOT分析で自己分析を深める方法|就活・キャリア設計に使える完全版の内部要因の整理が参考になる。

最後の段で、Mustの欄だけは公的な様式で埋める

Will・Can・Mustは、望むこと、できること、求められることの三つを並べて重なりを探す枠だ。学生が書くとWillとCanは埋まり、Mustが空くことが多い。働いた経験がないため、企業や職種の側が何を求めているかの手がかりが足りないからだ。ここは想像で埋めず、外から持ってくるのが早い。

厚生労働省が運営するマイジョブ・カードには、キャリアを整理するための様式がそろっており、登録なしで試せる自己診断として興味診断、スキルチェック、価値観診断の三種が用意されている。マイジョブ・カードは無料のキャリアコンサルティングの窓口も案内しているため、書いた様式を人に当てるところまで一続きで進められる。診断の結果は答えではなく、Mustの欄に書く項目の候補を出す仮説として扱うとよい。

三つの円が重なる部分が出たら、その重なりを言葉にして一度書き留める。書き留めた一文が、志望動機の骨格になる。地域に根を張る働き方まで含めて考えたい人は、FLASPOのような地域での実践の場を一つの選択肢として見ておくと、Mustの欄に書ける条件が具体になる。

自己分析のフレームワークについてよくある質問

五つ全部やる必要があるのか。段ごとに一つで足りる。集める段で年表、取り出す段でモチベーショングラフ、照らす段で12の能力要素、選ぶ段でWill・Can・Must、という形が最短になる。ジョハリの窓は人に協力を頼む必要があるので、時間が取れるときに足せばよい。

どの枠から始めればよいか。材料が紙に出ていない段階なら、迷わず年表からでよい。グラフや四象限は、並べる対象がないと線も箱も埋まらない。逆に出来事はすでに書き出してあるなら、集める段を飛ばして取り出す段に入って構わない。

所要時間の目安はどのくらいか。年表に二時間、グラフと理由の欄に三時間、能力要素への対応づけに一時間、最後の段に一時間が一つの目安になる。一度に通す必要はなく、年表の翌日に理由を埋めるほうが思い出す量が増える。

枠に当てはまらない経験はどう扱うか。無理に当てはめず、年表の行として残しておく。選考で問われる形に合わないという理由で消すと、後から別の質問が来たときに材料がない。枠は出力の形を整えるためのもので、材料を間引くためのものではない。

診断ツールの結果と自分の実感が食い違うときは。食い違い自体を記録しておくとよい。他人の目と外の尺度を入れる目的は一致させることではなく、差の出た場所を見つけることにある。差が出た欄を年表の出来事に当て直すと、どちらが実態に近いかが判断できる。


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