ワーケーションの種類を5つに整理|休暇型・業務型・ブレジャー

ワーケーションの種類を5つに整理|休暇型・業務型・ブレジャー

上司に相談したら「それは休みなのか仕事なのか」と聞き返されて答えに詰まった、という話をよく聞く。社内で話が進まない原因の多くは、制度の不備ではなく言葉の粗さにある。海辺で働く姿を思い浮かべた人と、地方での合宿を思い浮かべた人が、同じ単語で別のものを議論している。観光庁が型に分けて整理しているのは、まさにこのすれ違いを避けるためである。

まず休暇が主か、業務が主かで割れる

分類の一段目は目的の置き方にある。観光庁の整理では、大きく休暇型と業務型に分かれ、業務型がさらに三つに枝分かれする。そこに出張のあとに休暇を足すブレジャーを加えると、実務で使う型は五つになる。

型 主目的 典型的な中身 費用を持つ側
休暇型(福利厚生型) 休暇 有給と組み合わせ、滞在先で合間に働く おおむね個人
地域課題解決型 業務 地域の関係者と交流し解決策を考える 会社または主催者
合宿型 業務 環境を変えて議論やグループワーク 会社
サテライトオフィス型 業務 拠点やシェアオフィスで通常業務 会社
ブレジャー 出張の前後に休暇 出張先にそのまま滞在を延ばす 移動費は会社、滞在は個人

五つに分かれてはいるが、境目は見た目ほど固くない。同じ宿に同じ日数泊まっていても、何を目的に置いたかで型が変わる。だからこそ、どの型として扱うのかを本人と会社が先に合意しておく意味がある。

この表の右端が実務では一番もめる。同じ滞在でも型が違えば、宿泊費を経費で落とせるか、その時間が労働時間に入るかが変わる。型を先に決めずに日程だけ組むと、精算の段階で詰まる。

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休暇型は個人が動きやすく、承認は取りにくい

休暇が主目的で、その滞在中に必要な分だけ働く形が休暇型にあたる。福利厚生の一環として取り入れる企業が多く、有給休暇と組み合わせてリゾート地や観光地に長めに滞在し、その間はテレワークで業務をこなす。個人の裁量で始めやすいのは、この型が休暇の延長線上にあるからだ。

始めやすさの裏返しとして、会社の理解は得にくい。休暇中に働くという形そのものが、労働時間の管理と相性が悪いためである。何時から何時までを勤務とみなすのか、その間に事故があった場合にどう扱うのか。この二点に答えが用意されていない職場では、話が前に進まないことが多い。

現実的な進め方としては、まる一日を勤務日として申請し、前後の日を有給にする組み方が通りやすい。勤務日は自宅で働くのと同じ扱いにしておけば、管理の話が新しく発生しない。滞在先の選び方はワーケーションホテルの選び方に具体例がまとまっている。

業務型の三つは、会社の予算で動くかどうかが違う

業務が主目的になる型は、社内での位置づけがはっきりしているぶん話が早い。地域課題解決型は、滞在先の関係者と交わりながら、その地域が抱える課題の解決策を一緒に考える形を指す。参加者にとっては研修に近く、地域にとっては外からの視点が入る機会になる。

合宿型は、普段のオフィスとは違う環境に移って議論やグループワークを行うもので、新規事業の立ち上げや部署の方針づくりで選ばれやすい。サテライトオフィス型は、サテライトオフィスやシェアオフィスに出向いて通常業務をこなす形になる。前の二つが非日常を使うのに対し、こちらは日常の業務をそのまま場所だけ移す性格が強い。

この三つは受け入れる地域側の準備の重さも違う。地域課題解決型は住民や事業者との調整が要るため、日程を決めてから実施までに時間がかかる。合宿型は会議のできる部屋と宿泊先が揃えば成立し、サテライトオフィス型に至っては既存の施設を予約するだけで足りることが多い。思い立ってから動けるまでの早さは、下に行くほど上がる。

選ぶ基準は成果物の有無に置くと迷わない。持ち帰るべき結論があるなら合宿型、地域との関係を作ることが狙いなら地域課題解決型、単に働く場所を変えたいだけならサテライトオフィス型で足りる。目的を取り違えると、費用に見合う手応えが残らない。

ブレジャーは最も敷居が低い入口になる

出張の前後に休暇をつなげる形がブレジャーで、ビジネスとレジャーを合わせた言葉として使われている。観光庁もワーケーションと並べて普及に取り組んでおり、両者の関係は近い。

違いは時間の並び方にある。ワーケーションには休暇が主のものと業務が主のものの二通りがあるのに対し、ブレジャーは出張という業務が先にあって、そのあとに余暇が続く一通りしかない。移動そのものは会社の用事として済んでいるので、個人が追加で負担するのは延泊分だけになる。

注意点があるとすれば、休暇に切り替わる時刻をあいまいにしないことだ。金曜の業務が終わった時点から私用、という線を引いておけば、万一のときの扱いで揉めずに済む。出張報告と休暇届の日付が重ならないように整えておくだけでも、経理や人事とのやり取りはだいぶ軽くなる。

社内で前例を作りたいときに、この型は使いやすい。出張の申請はすでに仕組みがあり、休暇の申請も同じく既存の枠組みで済む。新しい制度を作らずに試せるため、最初の一歩としての摩擦が小さい。一度回してみると、滞在を延ばした場合に何が起きるかの実感が組織に残る。

認知は広いのに、実施は追いついていない

普及の度合いを数字で見ておくと、社内での期待値の置き方が現実的になる。観光庁の新たな旅のスタイルに関する実態調査報告書では、企業への調査で導入率が5.3パーセント、従業員への調査で経験率が4.2パーセントとされている。一方で従業員の認知率は約80.5パーセントに達していた。言葉は知られているが、実行に移した人はまだ少ないという開きがある。

国の側も対象を広げようとしている。令和6年度には、子育て世代を対象にしたモデル実証と、特定の執務環境を持たないノマドワーカーなど新しい働き方に対応したモデル実証が行われ、その成果は令和7年5月に公開されたナレッジ集にまとめられた。取り組みの全体像は観光庁のワーケーション&ブレジャー等の普及・定着のページから追える。

この開きの読み方には注意がいる。経験率の低さは需要のなさではなく、制度と運用が追いついていないことの表れと見たほうが実態に近い。認知が先に広がった分野では、受け皿が整った時点で一気に動くことがある。社内で提案する側に立つなら、まだ少数派である事実そのものより、どの型なら既存の規定のままで通せるかを示すほうが話が早い。

定義の確認から入りたい場合はワーケーションとはが早く、費用の目安を先に知りたいならワーケーションプランの比較が使える。滞在を通じて地域と続く関係を作りたいのであれば、FLASPOのような受け入れ側の情報にも目を通しておくと、型の選び方が変わってくる。

よくある質問

五つの型を混ぜてもよいのか。混ぜて構わない。出張で訪れた地域にそのまま数日滞在し、その間はシェアオフィスで通常業務をこなす、という組み方は実際によくある。ただし申請の書類は型ごとに分けて出したほうがよい。あとから経費の区分を説明するときに手間が減る。

宿泊費は会社が出してくれるのか。型による。業務が主目的の三つは会社の費用で動くのが通常で、休暇型は個人負担が原則になる。ブレジャーは移動費が出張の枠で処理され、延泊した分の宿泊費を自分で持つ形が多い。社内規定を先に確かめておきたい。

導入率が低いうちに提案すると浮くのではないか。数字の上では少数派だが、認知率は8割に届いている。知らない概念を説明するところから始めなくてよいぶん、話は通しやすい。前例がないことを気にするより、どの型で何日間かを具体的に示したほうが検討の土俵に乗る。

個人事業主には関係のない分類なのか。区分そのものは企業向けに整理されたものだが、目的を先に決めるという考え方は同じように効く。休むために行くのか、仕事の場所を移すだけなのか、地域との関係を作りに行くのか。決めておかないと、滞在費だけかかって何も残らない日程になりやすい。


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