空き家が増える原因とは?データで読む5つの背景と今できる備え

空き家が増える原因とは?データで読む5つの背景と今できる備え

増えているのは、募集も売却もされない家

駅前の通りを一本入ると、郵便受けがテープでふさがれた家が並んでいる。そんな光景は珍しくなくなった。総務省が五年ごとに行う住宅・土地統計調査は、2023年10月1日を基準日とした集計で、全国の空き家を900万2千戸と発表している。総住宅数に占める割合は13.8パーセントで、いずれも過去最多・過去最高の水準だ。2018年の848万9千戸と比べると51万3千戸の増加になる。注目したいのは中身のほうである。同じ調査では、賃貸用や売却用として市場に出ている家、別荘などの二次的住宅を除いた空き家が385万6千戸あり、五年前から36万9千戸増えた。全体の増加51万3千戸のうち、七割以上がこの区分で起きている計算になる。入居者を募集している賃貸物件は、空いていても流通の途中にある住宅だ。問題として語られる空き家の正体は、募集も売却もされないまま置かれている385万6千戸のほうにある。原因を考えるときも、この区分がなぜ膨らむのかを軸に据えたほうが話が早い。

募集中の地域コンテスト

読んだら、地域に行ってみよう

地域が出したお題に、オンラインでアイデアを応募できます。受賞すると、現地に無料で招待されます。

募集中の地域をすべて見る

相続で持ち主は決まっても、家は動き出さない

親が施設に入ることになった。あるいは亡くなって、実家に誰も住まなくなった。ここから空き家の時間が始まる例が圧倒的に多い。国土交通省の令和6年空き家所有者実態調査では、所有者が空き家を取得した経緯の57.9パーセントが相続だった。買って空き家にしたのではなく、意図せず受け取った家が多数派ということになる。受け取った側は都市部に生活の拠点があり、戻る予定はない。売るか貸すか壊すかを決めるには、家財の片付け、登記の確認、兄弟との調整が要る。どれも締め切りがないため、判断は後ろへずれていく。ずれているあいだに雨漏りが始まり、選べる道はさらに狭くなる。名義の問題も重い。長く放置された家は登記簿上の所有者が祖父母のままということがあり、相続人が十人を超えると全員の同意を集めるだけで年単位の作業になる。この滞留を減らすため、2024年4月1日から相続登記が義務化された。不動産を相続で取得したと知った日から3年以内に登記の申請をしなければならず、正当な理由なく怠れば10万円以下の過料の対象になる。施行前に発生していた相続も対象で、その場合の期限は2027年3月31日である。

壊すと税が上がる、という設計が残っていた

傷んだ家をそのままにしている人に理由を聞くと、費用の話と並んで税金の話が出てくる。住宅が建っている土地には固定資産税の住宅用地特例があり、200平方メートル以下の部分は課税標準が6分の1に、それを超える部分は3分の1に圧縮される。建物を取り壊して更地にすると、この軽減が外れる。建物分の税はなくなるが、土地の負担は跳ね上がる。解体費用を払ったうえで毎年の税が増えるとなれば、朽ちるまで置いておくほうが安いという判断が働いてしまう。この構図を崩すために、2015年に全面施行された空家等対策の推進に関する特別措置法は、倒壊のおそれなどがある家を特定空家等に指定し、市区町村が勧告を出した時点で住宅用地特例を外せる仕組みを設けた。さらに2023年12月13日に施行された改正法で、特定空家等になるおそれのある家を管理不全空家等として新たに位置づけ、こちらも勧告を受ければ特例が解除されるようになった。窓が割れている、雑草が繁茂しているといった段階でも、指導を経て勧告に進めば税の優遇は外れる。放置が安上がりだった時代は、制度の面では終わりつつある。

増加を押し上げている要素 裏づけとなる数字 出典(調査年)
使われないまま置かれる家の増加 385万6千戸(5年で36万9千戸増) 住宅・土地統計調査(2023年)
意図せず受け継ぐ家の多さ 取得経緯の57.9%が相続 空き家所有者実態調査(令和6年)
解体をためらわせる税の構造 住宅用地特例で課税標準が6分の1 地方税法/空家法(2023年改正)
住宅が供給され続ける状況 新設住宅着工81万6,018戸 建築着工統計(2024年度)

世帯は増えたのに、新しい家も建ち続ける

人口が減っているのに住宅が余るのは当たり前だ、という説明はよく聞く。ただし住宅の需要を決めるのは人口ではなく世帯の数で、そこはまだ増えている。前掲の住宅・土地統計調査によれば、2023年の総世帯数は5,621万5千世帯で、2018年から4.1パーセント増えた。単身世帯や高齢の夫婦のみ世帯が増え、一人あたりが使う住宅の数が増えているためである。にもかかわらず空き家が積み上がるのは、新しい住宅が供給され続けているからだ。国土交通省の建築着工統計では、2024年度の新設住宅着工戸数は81万6,018戸で、三年ぶりに前年度を上回った。毎年およそ八十万戸が加わる一方、使われなくなった家は解体にも流通にも回らず在庫として残る。日本では新築志向が根強く、購入検討者の視線が中古に向きにくいことも重なる。総世帯数が頭打ちに転じれば、この差はさらに開く。日本の人口減少はなぜ起きる?若者世代への影響と対策を徹底解説で扱われている世帯構造の変化は、空き家の問題と地続きになっている。

引き取り手はいるのに、出会えていない

借り手も買い手もいないから空いている、とは限らない。地方への移住を考える人は一定数いて、家賃を抑えて広い家に住みたいという希望も根強い。それでも取引が成立しにくいのは、あいだにある手間が大きいからだ。所有者は「人に貸せる状態ではない」と考えて情報を出さない。探す側は物件があるかどうかを確かめる手段を持たない。水回りの更新や屋根の修繕に百万円単位がかかると分かった時点で、双方が降りてしまう例も多い。この隙間を埋めるために多くの自治体が運用しているのが空き家バンクで、仕組みと使い方は空き家バンクとは?仕組み・利用法・メリット5つ・デメリット4つにまとめられている。改修費や家財処分費の補助を用意する自治体も増えた。所有者側にとっては、傷みが浅いうちに相談すれば選択肢が残るという点が重要になる。地域とのつながりを先につくっておく方法はFLASPOのような関係づくりの場からも探せる。増加の原因は制度と事情が絡んだものだが、一軒ごとに見れば、判断を先送りしないことが効く場面はまだ多い。

よくある質問

空き家が増える原因は相続だけですか。取得経緯としては相続が57.9パーセントを占めますが、それだけでは説明が足りません。受け継いだあとに動かせない理由として、解体すると土地の税負担が増える住宅用地特例の構造、名義や共有者の整理にかかる時間、修繕費の見積もりの重さが重なります。加えて毎年八十万戸規模で新築が供給され、使われない家が在庫として残り続けます。

親の家を相続しました。すぐに何かする必要がありますか。登記の期限があります。相続で不動産を取得したと知った日から3年以内に申請しなければならず、怠ると10万円以下の過料の対象になります。手続きが間に合わないときは相続人申告登記という簡易な制度で過料を回避できますが、これは正式な相続登記の代わりにはならないため、別途の申請が必要です。

しばらく放置しても、勧告まではされないのではありませんか。2023年12月の改正で、特定空家等になるおそれのある管理不全空家等という区分が設けられました。屋根や外壁の破損、雑草の繁茂といった段階で市区町村の指導の対象になり、改善されなければ勧告に進みます。勧告を受けた土地は住宅用地特例が外れるため、放置を続けるほど負担は増えていきます。

出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 調査の結果」、国土交通省「令和6年空き家所有者実態調査」、国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」、法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」。


アイデアコンテストプラットフォーム「FLASPO」

FLASPO

アイデア1つで、地域や企業とつながれる。

FLASPOは、全国の自治体・企業が開催する若者向けアイデアコンテストのプラットフォームです。
地域や企業が抱える課題に対して、あなたのアイデアで解決策を提案できます。

賞金やユニークな地域体験が獲得できるコンテストも多数。誰でも参加無料・オンライン完結で挑戦できます。

コンテストを探す▶︎

FLASPOで募集中のコンテスト

自治体や企業が出したお題に、学生・若者がオンラインでアイデアを応募できます。募集中のものも、これまでのお題と結果も、一覧で見られます。