その名前の大会は正式には存在しない
先生から「SDGs甲子園に出してみないか」と言われて検索しても、その名前の大会にはたどり着かない。探し当たるのは「SDGs QUEST みらい甲子園」という大会で、高校の現場では略して甲子園と呼ばれているだけである。まず正式名称を押さえておかないと、エントリーの要項も締切も見つけられない。
SDGs QUEST みらい甲子園の公式サイトによると、企画と総合プロデュースは未来教育株式会社が担い、事務局も同社内に置かれている。そのうえで各エリアの大会は自治体や教育機関、メディア、企業による産官民の協働で運営される形になっている。全国を一つの事務局が裁くのではなく、エリアごとに実行委員会が立つ構造である。
この構造は応募する側に直接影響する。締切も審査の日程も表彰式の会場もエリア単位で決まるため、全国共通の要項というものがない。隣県の先輩から聞いた日程をそのまま信じると、自分のエリアでは一週間早く締め切られていることがある。
名前が似ている大会も多い。大学生と高校生を対象にしたSDGsの提案コンテストや、中高生が動画で応募するアワードが別に存在する。対象学年と応募形式が違うので、誘われた大会がどれなのかは主催者名まで確かめたい。種類ごとの違いは学生コンテストの種類別攻略で整理できる。
規模は参加チーム数で見る
出るかどうかを決める前に、どれくらいの相手と並ぶのかを知っておきたい。公式サイトには開催年度ごとの実績が並んでいる。
| 年度 | エリア数 | 対象都道府県 | 参加チーム | 参加人数 |
|---|---|---|---|---|
| 2024年 | 23エリア | 40都道府県 | 2,741チーム | 11,041人 |
| 2025年 | 25エリア | 47都道府県 | 2,816チーム | 11,499人 |
| 2026年 | 24エリア | 全国47都道府県 | 開催決定 | — |
2025年は2,816チーム、11,499人が参加している。一チームの平均は4人ほどで、人数の条件に素直に収まる構成である。2024年の40都道府県から2025年に47都道府県へ広がり、2026年も全国での開催が決まっている。
エリア数は25から24へわずかに減っているが、対象都道府県は47のまま維持されている。都道府県の線とエリアの線が一致していないため、複数県をまとめた大会と単独県の大会が混在する。自分がどのエリアに属するかは、通学している高校の所在地で決まる。
競争の密度はエリアによって大きく変わる。2,816チームを24エリアで割れば平均100チーム強だが、人口の多い都市圏の大会と数県をまとめた大会では母数が違う。運営の告知では2026年度のエントリー募集が9月24日に始まったことが告知されており、年内締切のエリアが多い。
出せるのは一年生と二年生のチーム
応募資格は学年で区切られている。東海エリアを例にとると、対象は募集エリアの高校に通う1年生と2年生で、2人から6人のチームを組む必要がある。一名のみの参加は認められていない。
三年生の扱いが特徴的である。チームに加わることは可能だが、三年生だけでエントリーすることはできない。探究の成果を下級生に引き継がせる設計になっているので、受験を控えた学年が主役になる形は想定されていない。
中学生も条件つきで入れる。同じ中高一貫校に所属する高校生と一緒であれば参加できる。通信制の高校や高等専門学校の生徒も対象に含まれる。部活や研究会として取り組んでいるなど特段の理由がある場合は、最大10名までの編成が認められている。
人数の下限が二人に置かれている点は、企画の立て方に関わってくる。一人で調べた内容をまとめる形式ではなく、役割を分けて進めることが前提になっている。資料を集める人、現地に話を聞きに行く人、スライドを作る人という分担を早めに決めておくと、締切前の作業量が平らになる。
提出物は6ページに固定されている
書類の自由度は小さい。提出はPowerPoint、Googleスライド、Canvaの三種類から選んだテンプレートを使い、6ページで作成する。ページ数を増やすことも減らすこともできない。
| ページ | 書く内容 |
|---|---|
| 1 | 表紙(プラン名とチーム名) |
| 2 | 探究してきたことと、それを選んだ理由 |
| 3 | アクションアイデアと目標 |
| 4 | 実現の方法 |
| 5 | 行動によって生まれる影響 |
| 6 | 探究学習を通した心の変容 |
並びを見ると、審査が何を見ているかが読み取れる。前半で問いの出どころを示し、中盤で打ち手と実現性を問い、最後に自分たちの変化を書かせる。地域の課題を扱うなら、2ページ目でその地域と自分たちの関係を説明できるかが分かれ目になる。
最終ページの「心の変容」は、成果の大きさとは別の軸である。計画が予定どおりに進まなかった場合でも、何を見誤り何を考え直したかを書けば評価の対象になる。うまくいった話だけで埋めると、この一枚が薄くなる。
6ページという制約があるため、調べた量をすべて載せる余地はない。課題の選び方から企画に落とすまでの順番はSDGsをテーマにした学生コンテストの記事にまとめてあり、絞り込みの考え方はそのまま使える。
審査と締切はエリアごとに違う
日程は大会ごとに組まれる。東海エリア大会の概要に載る2026年度の流れを追うと、全体の形が見える。
まず12月1日の13時必着で6ページのプランを提出する。12月23日に一次審査が行われ、ここでは提出した6ページの内容だけで判断される。通過した12チームにプレゼン動画の制作が依頼され、1月18日が動画の提出締切になる。2月2日に二次審査、2月28日にファイナルセレモニーが開かれ、表彰と参加者の交流が行われる。会場は株式会社岐阜放送である。
締切の差は小さくない。同じ2026年度でも、新潟・北関東エリアは12月10日の13時必着、九州北部エリアは12月1日、南東北エリアとアルプスエリアは12月10日と分かれている。十日の違いは、冬休みに作業できるかどうかを左右する。
主催と後援の構成も大会ごとに違う。東海エリアの場合、主催はSDGs QUEST みらい甲子園東海エリア大会実行委員会で、共催に株式会社岐阜新聞社と株式会社岐阜放送が入る。後援には国連広報センター、文部科学省、岐阜県、岐阜県教育委員会、愛知県、愛知県教育委員会、三重県、三重県教育委員会、JICA中部が並ぶ。県の教育委員会が後援に入っているため、学校を通した参加の相談がしやすい。
自治体や企業と組んで動く経験は、進路の話とつながってくる。FLASPOのような地域と若者をつなぐ取り組みに触れておくと、提案で終わらせずに実行まで持っていく道筋が具体的になる。
よくある質問
一次審査を通るのは何チームか。東海エリアでは12チームにプレゼン動画の制作が依頼される。エリアごとに母数が違うため通過の割合も変わるが、提出した6ページだけで判断される段階があることは共通している。
地域の課題を扱うほうが有利か。有利不利を決める基準は公開されていない。ただし実現の方法と生まれる影響を書く欄があるため、自分たちが足を運べる範囲の課題のほうが具体的に書ける。遠い国の問題を扱うと、実現の方法の欄で手が止まりやすい。
テンプレートはどれを選ぶべきか。PowerPoint、Googleスライド、Canvaの三つに優劣は示されていない。複数人で同時に編集するならクラウド上で動くものが扱いやすい。学校の端末で使えるソフトを先に確かめておくとよい。
三年生が抜けたあとはどうなるか。三年生だけのエントリーができない仕組みなので、一年生と二年生が残る編成が前提になる。翌年も同じ題材で出す場合は、前年の6ページを引き継ぎ資料として残しておくと再構成が早い。
政策の提案に近い内容でもよいか。行政への提言を中心に据えるなら、政策の提案を競う別の大会のほうが評価の軸に合う場合がある。大学生の政策コンテストの記事と見比べて、自分たちの企画がどちらに近いかを判断したい。
締切に間に合わなかった場合はどうするか。エリアごとに日程が違うので、通学先の都道府県が属する大会の概要を必ず確認する。年度をまたぐ場合は、翌年度の募集開始が9月下旬になる例を目安に、夏のうちに題材を決めておく進め方が現実的である。
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