地域コミュニティと若者|18〜29歳の7割が「付き合っていない」 | FLASPO MAGAZINE

地域コミュニティと若者|18〜29歳の7割が「付き合っていない」

若い人が地域に出てこない、という言い方は現場でよく聞く。実際に年代別の数字を見ると、確かに差は大きい。ただ、その差の形を確かめると、関心がないというより、望んでいる距離が上の世代とずれているように見えてくる。公的な調査から、20代前後の人が地域とどう接しているのかを順に押さえていく。

断層は40代の手前にある

内閣府の令和7年10月調査は、全国の18歳以上3,000人に郵送し、1,732人から回答を得ている。地域での付き合いの程度を年齢別に見ると、差は年齢に比例して開いているのではなく、ある場所で段になっている。

年齢 回答者数 付き合っている 付き合っていない
18〜29歳 184人 28.8パーセント 70.1パーセント
30〜39歳 174人 35.1パーセント 64.4パーセント
40〜49歳 246人 45.1パーセント 52.0パーセント
50〜59歳 307人 44.0パーセント 55.4パーセント
60〜69歳 329人 60.8パーセント 38.0パーセント
70歳以上 492人 71.5パーセント 26.4パーセント

18歳から29歳では、付き合っていないと答えた人が70.1パーセントに達する。うち「全く付き合っていない」が28.3パーセントで、3割近くが接点ゼロだと答えている。70歳以上では全くないは3.5パーセントにすぎない。同じ質問に対して、世代でまるで別の景色が返ってくる。

見落としやすいのは、40代と50代がほぼ同じ水準で並んでいることだ。45.1パーセントと44.0パーセントで、差は1ポイント強。段になっているのは30代と40代の間である。地域の集まりで「若い人」と呼ばれる層が40代を含むことが多いのは、この段差を現場が感覚的に掴んでいるからだろう。

望んでいる距離が、そもそも違う

同じ調査は、どの程度の付き合いが望ましいかも聞いている。ここに出てくる差のほうが本質的だ。18歳から29歳では「挨拶をする程度の付き合い」を選んだ人が39.1パーセントで最も多く、70歳以上の9.1パーセントとは4倍以上の開きがある。逆に70歳以上で最も多いのは「地域の行事や会合に参加する程度の付き合い」の38.2パーセントで、この選択肢を選んだ18歳から29歳は14.1パーセントにとどまる。

重要なのは、関わりたくないと答えた人がほとんどいないことである。「地域での付き合いは必要ない」を選んだのは18歳から29歳で4.3パーセント、30代で3.4パーセント。全体では1.4パーセントで、若い層でやや高いとはいえ、圧倒的な少数派だ。つまり、つながりそのものを拒んでいるのではない。求めている強度が違う。

この食い違いは、誘い方に直接跳ね返る。挨拶程度でよいと思っている人に、通年の役や準備の重い行事を最初の接点として提示すると、断られるのは当然である。断られた側には「若い人は関心がない」という記録だけが残り、実際には距離の設計を間違えていたことが見えなくなる。

参加の数字は、若者だけが下がったのではない

行動のほうも確かめておきたい。総務省統計局の令和3年社会生活基本調査によれば、過去1年間にボランティア活動を行った人の割合は17.8パーセントで、5年前より8.2ポイント下がっている。年齢階級別では25歳から29歳が10.1パーセントで最も低く、最も高い65歳から69歳の23.4パーセントとは13ポイント以上の差がある。

ただ、この調査で目を引くのは低下が全年齢に及んでいることだ。すべての階級で5年前を下回っており、下げ幅が最大だったのは10歳から14歳のマイナス14.4ポイント、次が40歳から44歳と45歳から49歳のいずれもマイナス11.1ポイントである。20代前半の下げ幅はマイナス7.0ポイントで、むしろ平均より小さい。

調査年が令和3年、つまり感染症下だったことを差し引いても、この形は若者論では説明できない。学校行事や子供会を通じた参加が止まったことが、子どもと、その保護者にあたる40代を同時に押し下げたと読むほうが素直である。若い層の参加率がもともと低いのは事実だが、この5年で起きた変化の主役ではない。

そもそも母数が減っている地域がある

参加率の話とは別に、分母そのものが動いている。内閣府の令和7年版男女共同参画白書によれば、令和6年の10代から20代の人口に対する転出超過数の割合は、女性が1.32パーセント、男性が1.19パーセントだった。前年からいずれも上昇しており、この年代の女性の転出超過が男性を上回る状態が続いている。

率としては1パーセント台だが、これが毎年積み上がる。過疎化が進んだ地域で「若い人がいない」と言われるとき、参加意欲の問題と人口構成の問題が混ざっていることが多い。区域内に20代がほとんど住んでいない地域では、加入率をどう上げても若い担い手は出てこない。

この前提を認めると、打ち手の方向が変わる。区域内の若者を掘り起こす話と、区域外から関わる人を迎える話は別の作業になる。後者のほうが成果が出やすい地域も少なくない。

入口の形を変えると、来る人がいる

外から入る仕組みが実際にどの年代を連れてきているかは、数字で確かめられる。総務省によれば、地域おこし協力隊の隊員数は令和6年度に7,910人となり、前年度から710人増えた。取組自治体は1,176団体である。年齢構成は20歳から29歳が33.2パーセント、30歳から39歳が31.0パーセントで、この二つで6割を超える。女性は39.0パーセントを占める。

同じ国内で、自治会の会長に占める女性の割合が令和6年時点で7.3パーセントにとどまっているのと比べると、差の大きさが際立つ。年齢も性別も、制度の設計と募集の仕方で動く。若い人が来ないのは地域の宿命ではなく、入口の形に左右される部分が大きい。

総務省の地域コミュニティに関する研究会も、地域活動のデジタル化を進める意義として、現役世代や若者の積極的な参加を促す点を挙げている。電子回覧板やオンライン会議は、平日夜の集会所に行けない人の参加を可能にする。挨拶程度でよいと考えている人にとって、最初の一歩の負荷を下げる手段にもなる。企画単位で若い世代と接点をつくるFLASPOの取り組みも、加入という一段しかなかった入口の手前に段を足す試みとして同じ系列にある。

よくある質問

20代が地域活動に参加しないのは、忙しいからではないのですか。時間の制約は確かに大きい。横浜市の調査では、加入しない理由として聞き及んでいる項目に「ほとんど家にいない、活動に参加できないから」が39.8パーセントで第2位に挙がっている。ただ、望ましい付き合いとして挨拶程度を選ぶ人が4割近くいることを併せて読むと、時間さえあれば行事に出たいわけでもない。時間の問題と距離の問題は分けて扱ったほうがよい。

若い人に役員を頼むと断られます。どう声をかければよいですか。通年の役を最初に提示しないことが第一条件になる。期間が決まっていて、終わりが見える形にする。夏祭りの一日だけ、写真の撮影だけ、回覧の電子化の設定だけ、といった単位に切り出せば引き受け手は見つかりやすい。実際にやってみて合うと感じた人が次の年に増やす、という順番になる。

学生に関わってもらうには何が要りますか。卒業や就職で抜けることを前提に設計しておくことだ。個人の善意に依存した引き継ぎは一年で切れる。誰がやっても再現できる手順が残っていれば、毎年新しい学生が入れ替わりながら続く。大学のゼミや部活の単位で受け入れると、募集の手間も下がる。

デジタル化すれば若い人は入ってきますか。それだけでは足りない。総務省の研究会も、デジタルとリアルのバランスを保つことや、住民の多くが操作に不慣れであることを課題として挙げている。電子化は参加の障壁を下げる手段であって、参加する理由そのものを作るわけではない。何のために集まるのかが先にある。

移住してきた20代に役をお願いしてもよいのですか。お願いしてよいが、順番に注意が必要である。来て早々に重い役が回ってきたという話は各地で聞かれ、定着を妨げる要因になる。最初の1年は地域の行事に出てもらう側に置き、二年目以降に本人の希望を聞いて役を相談する形が無理がない。

出典

内閣府政府広報室「社会意識に関する世論調査(令和7年10月調査)」/総務省統計局「令和3年社会生活基本調査 生活行動に関する結果 結果の概要」/内閣府男女共同参画局「令和7年版男女共同参画白書 第3分野 地域における男女共同参画の推進」/総務省地域力創造グループ地域自立応援課「令和6年度 地域おこし協力隊の隊員数等について」/総務省「地域コミュニティに関する研究会 報告書(令和4年4月)」


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